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67 Fear 「恐怖」 

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67 Fear 「恐怖」

これまでの人生、私は傍観者だった。時が私の横を通り過ぎていく間も、私は横に立ち、その流れの仲間に入ることを夢見つつも、次々に流れ去るのをただ見ているだけだった。でも、私は決してその夢を現実にしようとはしなかった。もちろん、自分の夢を追求しないのには理由があった。おカネの問題。生まれつきの性別の問題。社会的な圧力。それらを私がどう呼ぼうとも、せんじ詰めれば、それらはひとつの単純なコトに帰着する。私は恐れていたのだ。

恐怖は障壁である。恐怖は私たちが進むのを阻止する門番である。門の向こう側が見えているし、そこで暮らしたいと思う。だけど、たとえ自分がなりたいと夢に思うものに触れられそうなほど近づいた時ですら、私たちは手を伸ばすのをためらってしまう。理想をつかむのをためらってしまう。そして、「もし、あの時、ああしていたら」という気持ちに苦しめられ、行動を起こさなかった結果をいつまでも思い悩んでしまう。追求すべきだと心の奥では分かっていたのに追求しなかったことを後悔し続けてしまう。そういう点で言えば、私もその例外ではなかった。

自分が追求すべき道だと思ったのに、その道から目を背けてしまった最初の時のことを覚えている。小さかった頃、多分7歳か8歳の頃。私は姉の持ってる人形で遊びたいと思った。本当にあれで遊びたくてたまらなかった。だけど私は我慢した。人形遊びは男の子がする遊びじゃないと考えたのだった。無意識にそう思ったのではなく、意識して、そう思い込んだ。私は、ティー・パーティごっこやおままごとをしたいなんて全然思っていないというフリをして、外に遊びに出たのだった。

あの時のことがその後の私の人生を決めた。頭の中、女性になりたいという声が聞こえてきても、その声を心の奥底に押し込んだ。その声は消えることはなく、しょっちゅう私の耳に囁きかけ続けていたけれど、たいていの時は、その声は迷惑な雑音以外のものではなかった。その間も、私は姉の服などを試着し、女装に手を出し続けていたが、それは短時間で終わる行為で、いつも最後は後ろめたさを感じ、後悔するのであった。

しかし、ついには、そんな生活も次第に深化し、行為が現実化していった。他の人にとっては、私は普通の男性にしか見えない。妻を持ち、子を持ち、仕事も友人も得た。誰も私の秘密を知らない。誰も、私が心に隠し持っている憧れを知らない。

夢遊病状態で生活していたと思う。ネットにつなぎ、怖さのあまり自分ではできないことをすべて行ている人たちの話しを読む、そんなわずかな空き時間のために生きているような毎日。動画を見たり、話しを読んだり。その間もずっと、昔からの夢と現実を一致させることができるだけのチカラが自分にあったらと願い続けた。

そんなある日、あのことが起きた。まるで脳の中の堰が一気に壊れたかのように、私は突然なにも気にしなくなったのだった。自分がしあわせになるにはどうしたらよいか分かった。そして、私はそれを実行したのだった。

あの日、私は変身することに決めた。そして、以来、私は一度も過去を振り返ることはなくなった。今はどうなっているのか? 私は自分が生きたかった人生を生きている。確かに、後悔はある。その後悔とは、どうしてもっと早くこの決断をしなかったのだろうという後悔だ。確かに、中傷されることもある。私もそれなりにヘイトを経験してきた。だが、それは、ずっと前から自分がなりたいと思い続けてきた人間になったことに比べれば、小さな代償にすぎない。

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[2018/04/26] feminization 67 | トラックバック(-) | CM(0)

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