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無垢の人質 第2章 (1)

「無垢の人質」 第2章 Innocent Pawn Ch. 02 by wishfulthinking

イサベラはうつぶせに横たわっていた。

片手をあごの下にあてがいながら、眠たげに眼を開く。その愛らしい緑の瞳は、ゆっくりと部屋の薄暗さに順応し始めた。夢すら見ぬ眠りの間、何かに体を焦らされる感覚に悩まされていた。眠りつつも、切なげに眉の間にしわを寄せていた。

彼女は、体を広げるようにして、大きな木製のベッドに横たわっていた。ベッドの木枠には精密な木彫りの装飾が施されている。円形の狭い部屋には、ベッド以外に家具と呼べるものはないに等しい。長細の窓から差し込む夕暮れの日差しが、揺らめきながら彼女の体を弄ぶように照らしていた。

眠りの間、何が自分を悩ませていたのだろうと思いを巡らしつつ横たわるイサベラの脳裏に、レオン・ド・アンジェが彼女に行った忌まわしい記憶が急速に蘇った。

ああ、なんてこと! 熱を帯びた波が再び体を襲うのを感じ、彼女は両目を固く閉じた。だが、たとえ眼を閉じても、あの焼き貫くような鋭い褐色の瞳のイメージからは逃れることができない。

イサベラは、うつ伏せになりながらも、左右に広げたままの太ももの間に、生暖かい空気がいたぶるように当たり、膨れた桃色の唇を守る役目をほとんど放棄した赤毛の縮れた茂みに、さざめきを与えているのを感じた。

この優しいいたずらをしているのは何か、不確かなまま、彼女は、顔に掛かっていた長い赤髪をかき上げ、肩肘をついて上体を起こした。

ピシャリ!

突然、大きな手が彼女の尻頬を平手打ちした。それを受けて、イサベラは、驚きと怒りが混じった悲鳴を上げた。誰か知らぬが、これ以上、自分のでん部に悪さをすることから身を守ろうと、イサベラは素早く体を反転し、仰向けになった。

「うふふふふ・・・」

落ち着いた男の笑い声が部屋に漂った。そして、眠りから覚めたばかりで頭に霧が掛かったままのイサベラも、自分が大きな間違いをしてしまったことに気がついたのだった。

その、ベッドの裾には、右上腕に巻いた包帯を別として、生まれた日と同じ全裸でひざまずき、目の前にしどけなく広げたイサベラの眠りから覚めたばかりの暖かい肉体を、屈辱的な全裸の状態そのままに、臆面もなく見つめるレオン・ド・アンジェの顔があったのだった。
  1. 2008/05/26(月) 17:16:44|
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